賃貸経営は法人化したほうがよい?
賃貸経営は法人化したほうがよいのでしょうか?法人化する場合のメリットや適したタイミングなどについて紹介します。
賃貸経営を法人化することのメリット
賃貸経営を始めて軌道に乗ってきたという人は、法人化することによって多くのメリットを享受することができます。
所得税や住民税を節税できる
個人で賃貸経営をしている場合、それによって得た収入は所得税の課税対象になり、収入金額が多くなればなるほど税率も高くなってしまいます。もし、企業などに勤めていて本業をお持ちの場合、その給与に不動産所得をあわせたものが合計所得額となるため、税金はさらに高くなってしまいます。
たとえば、個人の場合、所得金額の合計が195万円以下なら所得税と住民税を合わせた税率は15%ですが、330万円までは20%、695万円までは30%、900万円までは33%と段階的に増えていきます。1800万円を超える場合には税率が50%になるため、所得の半分を税金として支払わなければならなくなります。
しかし、法人の場合は所得金額が400万円以下なら所得税や法人税を合わせた税率は約22%、800万円以下なら25%、800万円を超える場合は38%までが上限となるため、所得金額が高い場合は法人化することで大きな節税をすることが可能なのです。
本業だけですでに800万円以上の所得を得ている場合には、最初から法人化することが節税対策として高い効果を上げるでしょう。
役員報酬で節税できる
法人化した場合、オーナー自身やその家族に役員報酬として給与を支払うことができます。
そうすると所得を分散でき、報酬分で所得控除を受けられるため、節税対策として有効です。
また、家族以外にも知り合いに仕事を手伝ってもらった場合にアルバイト代などとして報酬を支払うことができるので、効率的に所得分散できます。
相続税対策になる
個人で不動産を持っている場合、その不動産を相続させる場合には相続税がかかりますが、法人化していれば役員を変更すれば相続税をかけずに引き渡すことができます。
また、相続する子や孫が複数人いる場合は、株式会社にしておけば土地を分割して価値を下げることなく、株式を分割して相続させることも可能です。
法人化するタイミング
所得金額の合計が900万円を超えるかどうか
一概にはいえませんが、所得合計金額が900万円を超える場合は法人化したほうが税率が低くなります。不動産所得と企業などの給与を合わせた所得額でどちらにするかの判断しましょう。
ただ、課税所得金額は経費などを差し引いた金額になりますので、単純に不動産によって得た収入だけで計算するのではなく、利益になる金額で計算してみてください。
法人化にかかる手間や費用などのリスクも検討する
賃貸経営を法人化するとメリットだらけのように感じますが、やはり法人化するには司法書士に依頼して書類を作成したり、それに支払う報酬や登録免許税がかかったりと、いろいろな手間や費用も必要になってきます。
また、社会保険料の強制加入や厳密な会計処理なども要求されますので、今まで以上にしっかりした管理が必要になるでしょう。
ほかにも、副業禁止の企業に勤めている場合は役員になれない、収支が赤字になった場合でも法人税を払い続ける必要があるといったリスクも存在するため、「節税できるから」という理由だけで安易に法人化することは危険な場合もあります。
法人化するかどうかは、専門家に相談し数年後の経営状況などを予測して慎重に検討することをおすすめします。