賃貸管理会社の目安「入居率」とは?
「入居率」「空室率」とは、賃貸物件の入居中の部屋、または未入居の空室スペースが、全体の部屋数やスペースに対して占めている割合のことを指します。入居率が高ければオーナーの収益は上がり、空室率が高ければ収益は下がります。
「入居率」は全体に対する入居の割合のことであり、対する「空室率」は全体に対する空室のある割合となります。これらは賃貸物件や貸しビルなどについての割合となります。
賃貸用の物件の場合、空室率は収益に直結する指標です。そのため、大家さんにとっては入居率をいかにして高めるかが重要な要素となります。
空室率については、全体のうちどれほど空きが出ているかを割合として算出するものですが、何を「全体」とするかによって求め方が異なっています。①戸数 ②床面積 ③賃料と、それぞれをベースにして空室率を算出することができます。
戸数を基準にした場合、20室中5室が空きになっていれば、「5÷20=25%」という計算式になります。床面積を基準にする場合には、1000㎡中250㎡が空室であるとして、「250÷1000=25%」という計算式になります。
最後に賃料を基準にした場合には、それぞれの物件の間取りや階数などによって求め方が異なります。たとえば最上階の2軒が10万円の物件であるとして、それ以外の4軒が8万円、空室が10万円と8万円の1軒ずつであるとすると、全体の賃料の合計を求めてから空室分の合計も求めましょう。
「(10+8)(空室の賃料の合計)÷(20+32)(全体の賃料の合計)=34.6%」という計算式になります。※答えは四捨五入
これから投資を検討している物件については、入居率と空室率をチェックし、最適な物件を選ぶ必要がありますし、狙っている物件の近隣にある同じような条件の物件などとも比較して、相対的に投資にふさわしい場所を選び出すことが大切です。
入居率や空室率の統計は、総務省統計局が5年ごとに発表している「住宅・土地統計調査」や、それを基にして独自に全国賃貸住宅経営者協会連合会が算出している「民間賃貸住宅(共同住宅)戸数及び空き戸数並びに空き室率」などで知ることができます。
空室率については各物件や物件のあるエリアごとに違いがあり、常に需要が見込めるところもあれば、空室が目立つところもあります。
近年では地震などの天災に備えるため、木造よりもコンクリートの建物に注目が集まっているなど、現代的な特徴もみられます。そのようなニーズを鑑みつつ、空室を少しでも埋める工夫が求められています。
ただし、少子高齢化によって高齢者の単身世帯や独身者の増加などが見込まれるため、低価格帯の物件にも注目が集まっています。
コンクリート造ではないからといって入居率が必ずしも低いとは限らず、需要を的確に判断しながら応えていくことで、入居率に関する問題も改善されると考えられます。
また、物件の状態に応じて部屋の内装や外観をリノベーションしたり、ペット可物件にするなどの入居条件および金銭面を緩和させたりすることも、入居率の向上につながります。
人口減少や都市への一極集中などにともなって、マンションやアパートなどの賃貸物件の空室率が0%というところはあまり多くはありません。
大家さんにしてみれば、家賃収入が減ってしまうのは大きな問題ですが、必ずしも0%にはならないということを踏まえつつ、その時々で入居率や空室率を把握し、ニーズに沿ったサービスを展開していくことが求められます。
これから賃貸物件の維持管理、もしくは投資を行う際には、上記で紹介した点を踏まえながら、物件のあるエリアの将来性や周辺環境なども含め、総合的に判断をしていきたいところです。