マンション管理会社とは?どんな役割?
マンションの管理会社とは、管理組合によって業務を委託されることにより、さまざまなマンション内の業務を担当する会社のことです。
管理組合との間でかわされる「管理委託契約」の中では、マンション管理会社は「基幹業務」と呼ばれる業務を請け負うと規定されています。
具体的には、管理組合の会計の収入および支出の調停・収支予算および収支決算の素案作成・収支状況の報告など財務に関わる業務のほか、マンションの管理費や修繕積立金などの金銭の収納・管理費を滞納している入居者に対する督促なども行います。
その他、金銭に関わる業務としては、通帳などの保管や経費の支払い、帳簿などの管理といった業務も行います。
マンションの維持に関しては、老朽化した部分や破損した箇所への修繕に関する企画や実施についての調整、マンションが経年劣化した際に、それぞれの状況に基づいた工事内容などのアドバイスも行います。
管理組合と管理会社は似たものとして混同されやすいのですが、管理組合はマンションの所有者によってつくられる組合のことで、管理会社はマンションから維持管理業務だけを委託される会社になります。そのため、両者はそれぞれ異なる業務を行います。
中には管理組合自身が自発的にマンションを管理する形もみられますが、最近ではほとんどのマンションが管理会社に管理費を支払い、業務を委託しています。
管理会社はマンションの管理組合に選ばれてから、管理組合側と管理委託契約を交わします。契約を交わさなければ、マンションの管理を受託することはできません。マンションの維持に関わる基本的な事務管理のほか、管理人としての業務や各種清掃、建物設備の維持管理などを基本として行います。
ただし、管理会社はマンションの維持だけでなく、その他の業務を引き受ける場合もあります。それは、住民同士のトラブルや騒音に関する対策、防災・防犯対策といった業務です。
住民同士のトラブルは、騒音や迷惑行為などをきっかけとするものが多くみられます。本来であれば、住民同士で話をつけるべきものなのですが、それでは話がこじれてしまうケースも少なくありません。そこで管理会社は、マンションの入居者がいかにして快適に生活できるかを考え、判断しなくてはなりません。
マンション内のトラブルに関する管理会社の役割としては、管理組合にトラブルの発生を報告し、共有部におけるマナーをしっかりと守るようにうながします。次に、マンション全体で決められている使用細則について、入居者全員に文書などで周知をします。
住民同士の個別のトラブルに割って入るようなことはしませんが、事態が決着しなければ、特定の入居者への申入書を作成し、提出します。この時、マンションの管理組合にも事前に提案をしておかなければなりません。
マンション内のトラブルに関する規則が存在しない場合は、使用細則の原案などを作成して管理組合に提案します。
残念ながらすべてのマンションでこのような対策が取られているわけではありません。トラブルへの対応が遅れがちであったり、基本的な管理業務で手一杯であるといったケースも少なくないようです。
特に近年では、地震や火事などの自然災害に対する防災対策が急務とされており、中小規模のマンションについても防災マニュアルの策定が急がれています。
老朽化が著しいマンションでは、災害とそれにともなうマンションの破損などに備えるための計画案の策定や、災害直後からライフラインが復旧するまでの備えなどが必須となっています。
中には防災対策が行き届いているマンションもあり、防災マニュアルから物資の準備、周辺の防災情報の取得やマンション全体での防災訓練などが実施されています。