賃貸住宅紛争防止条例とは
平成16年に東京都で施行された、賃貸住宅紛争防止条例について解説します。
東京の大家さん必見の、賃貸住宅紛争防止条例
賃貸住宅紛争防止条例という名称だけを見ると、なにやら大仰で弁護士さんなどに依頼すべき事案のように思われますが、そこまで深刻なハナシではありません。
簡単に言えば、住宅の賃貸において、貸主と借主の間のトラブルを防止するために制定されたもの。
より詳しく掘り下げれば、近年トラブルになりがちな、賃貸物件の原状回復とそれに伴う敷金精算に関するガイドラインということになります。
例えば、とある借主がとある賃貸物件に10年あるいはそれ以上の長期間住み続けた後に退去することになったと仮定します。
当然、その物件を次の借主に貸し出すために、大家さんは原状回復を行うことになります。
その際に預かっている敷金でどこまでの原状回復を行うかによって、近年、貸主と借主の間のトラブルが起きやすくなっているのです。
長年住み続けたことにより、敷金や賃貸契約に関する時流が変化しており、貸主と借主との間に、認識の違いやギャップ、情報不足などが生じてしまっていることが主たる原因です。
上記のような問題の解決策として、東京都は賃貸住宅紛争防止条例を定めました。
賃貸住宅紛争防止条例の内容とは
この条例は、借主に前もってトラブルの原因となる事項を明らかにし、原状回復や修繕の費用について、説明を行わなければならないという条例です。
すなわち、東京都の大家さんは、自主管理をしている場合、自らこうした責務を果たす必要があるということ。
この条例は平成16年以降の新規規約時に適用され、継続更新契約の場合は適用外となっているため、大家さんでも実はご存知ないという方も実は多いのが現実です。
当然ながら契約書なども適宜見直しや改善していかなければなりません。
自主管理にこだわりたいので、この点についても勉強したいという方はさておき、本業を持つ方がこの点についても習得していくのはなかなかな困難です。
やはり、その道のプロである賃貸管理会社に依頼するのが望ましいと言えるでしょう。
貸主負担となるもの
- 次の入居者を確保する為に行う畳の交換、網戸の交換、浴槽、風呂釜等の取替え、カギの取替えなど
- 家具などによる床・カーペットのへこみ、設置跡の修繕
- テレビ・冷蔵庫など電化製品の後部壁面の黒ずみ(電気焼け)
- ポスターを貼ったことによるクロスの変色など
- エアコンなどの設置による壁穴
- フローリングのワックスがけ、水回りなどのハウスクリーニングなど
- 耐用年数を迎えた設備や機器の故障や使用不能状態
- 建物の構造的な欠陥により発生した畳の変色、フローリングの色落ち、網入りガラスの亀裂など
借主負担となるもの
- 賃借人の不注意により雨が吹き込んできたような場合のフローリングの色落ち
- 飲みこぼし、結露放置、その他液体によるカビやシミ
- 風呂、トイレなどの設備破損
- 引越し作業や模様替えによるフローリングの傷跡
- ペットによる柱や壁などのキズ